今年県内で相次ぎ発覚した中国人らによる集団密航事件と偽装結婚事件は、
中国人や犯罪組織・蛇頭(スネークヘッド)が、いかなる不法な手段を使っても
日本に入国しようと機会を狙っている実態を浮かび上がらせた。
これらの事件の背後には、蛇頭と日本の暴力団とのつながりが見え隠れする。
捜査当局は、不法入国などの犯罪を水際で食い止めるとともに、
暴力団の資金源を断とうと取り締まりを強化している。
('97点検とくしま 集団密航と偽装結婚から)
蛇頭は現中国建国の時期から存在していたようだ。
もっとも、「蛇頭(スオトウ)」の歴史はさらに古い。一九四九年の現中国の建国当時、
共産党政権を嫌った人々の国外逃亡を手伝ったのも、ベトナム戦争のサイゴン陥落時(七五年)に
現地の華僑を国外に逃がしたのも蛇頭だったと言われる。そのころは、主にタイ、
香港を拠点にした、ひそかな活動が中心だった。
出番が多くなったのは、中国で改革開放政策が始まった七九年以降。華僑の帰郷が増加、
国外の豊かな生活が伝えられて、専ら経済的な成功を夢見る出国ブームが起きたからだ。
蛇頭の名の由来は、▽リーダーを先頭に海を一列に泳いで渡るイメージが蛇のよう▽頭をつぶさないと
死なない蛇のような組織−−など諸説あり、はっきりしない。密航船を「蛇船」、密航者を「人蛇」と
言うこともあるが、蛇頭自身はそれらの呼称を嫌い、密航者らには自分たちを
「老板(ラオパン)」(リーダーの意)と呼ばせ、密航者のことは「鴨子(イヤツ)」と呼ぶ。
自分らの行為をビジネスと割り切り、「人頭生意(レントオスンイ)」
(人間に関する商売)という言葉を使うこともある。
(よみうりもの知りエース 蛇頭から)
日本の暴力団との繋がりもあり、かなり巨大な組織であろうということは間違いない。
最近ではほとんどの在日蛇頭が、日本の暴力団を協力者に引き入れ、
出迎え船や国内での運搬、アジト確保などを分担させている。
加えて、密航者が国内で窃盗グループを組織化したり、金をためた不法就労者を誘拐したり
するなど、密航絡みの犯罪も悪質化が目立ち、警察庁、海上保安庁、法務省入国管理局など
関係当局は、集中取り締まりに力を入れている。
海上保安庁は二月に密航対策室を設置。巡視船艇による不審船の立ち入り検査や、
航空機による警戒を強化した。警察、海保間の協力も密になり、発見と同時に不審船を
摘発していたこれまでのやり方を改め、受け入れ側との接触まで追跡して、組織の
根絶を目指す捜査手法も定着してきた。
その典型が、昨年十二月、愛知県伊良湖岬沖で密航者九十八人が密航船から出迎え漁船に
乗り換えた直後に両船を一網打尽にしたケース。大阪、愛知の両府県警は、この事件を手引きした
在日蛇頭を入管難民法違反(密入国)ほう助容疑で逮捕、未発覚だった四事件も解明、
協力した暴力団関係者らも捕らえた。
(よみうりもの知りエース 蛇頭から)
もちろん、密入国をするのは中国人だけではない。
このような記事が出ている。
昨年の入管難民法違反事件で強制退去を受けた外国人は4万1935人(前年比2.9%増)で、
8割近くが不法就労で摘発されていたことが23日、法務省入国管理局の公表資料で分かった。
昨年の不法就労者は3万2364人(前年比3.4%減)で、出身地でみると、アジア諸国を中心に
104カ国(地域)に及んでいる。強制退去を受けた外国人を国籍別でみると、トップが韓国で9656人。
以下、中国(香港を除く)9287人、フィリピン4997人、タイ3172人、ブラジル1432人の順。
不法就労者が働いていた場所は東京都(1万962人)が最も多く、
関東1都6県で不法就労者全体の約7割を占めた。
(ZAKZAK 2003/05/23から)